<< 前のエントリ |メイン | 次のエントリ >>
2017 年02 月11 日

日経大機小機 安倍政権の「やってる感」

 今日の日経新聞19面の大機小機の欄に 安倍政権の「やってる感」 と題する記事が載っていた。

「筆者はしばしば、安倍政権の経済政策を「焼き畑農業」と評している。最初の「3本の矢」は一定の成果を収めたが、それだけでは成長力は高まらなかった。それ以降、地方創生、新「3本の矢」、一億総活躍など次々に目先を変え続けている。ただし、看板を掛け替えて会議を立ち上げるだけだから、実際に成果が生まれるはずはない。

 それでも安倍政権の支持率が極めて高いのは何故かと考えてきたのだが、御厨貴・芹川洋一両氏の対談本「政治が危ない」(日本経済新聞出版社)の中に重要なキーワードを見つけた。それが「やってる感」である。しかも同書によれば、首相自身が「やってる感が大事なんだ」と意識して行動しているのだという。

 この言葉を聞いて思い当たったのは、日本には成果の有無ではなく、「頑張っている人をおとしめてはならない」という文化があることだ。「アベノミクスは道半ば」として、次々新しいスローガンを掲げ続ける経済政策は、確かに頑張っている印象を与える。党内対立で身動きできなかった旧民主党政権とは好対照である。

 まして頻繁に外遊をこなし、その度にテレビに自身の姿を映し出す外交姿勢は「やってる感」満載といえよう。昨年末の北方領土交渉でロシアのプーチン大統領に肩透かしを食らっても、意外に支持率が下がらなかったのは、諦めずに頑張り続ける姿勢を示していたからではないか。

 これは黒田東彦総裁率いる日銀の金融緩和も同じかもしれない。(以下略)」

 これは、なるほどそうかもしれない。でも、この「やってる感」、さらに言えば「自己陶酔感」で何とかしのげているのは、なんだかんだ言って、アメリカトランプ政権の誕生の余波で、日本の株式相場が高騰しているからだろう。そのうち、本人が「やってる感」で自己満足しているうちに、その中には何もないこと、つまり、昔と同じく、バブル・夢の泡でしかないことに皆が気づいて(本当は皆、もう気づいているのに、気づかないふりをしているだけなのだろうが)株式相場が急落したときが、とても恐ろしい。もう誰も、ひとにかまっていられない、余裕のない世界が、今目の前に来ている感じがする。 

投稿者:ゆかわat 09 :45| ビジネス | コメント(0 )

◆この記事へのコメント:

※必須